疲れが溜まっていたり、酔っていたり。慣れない環境に突然おかれたり、やらなければならない作業に忙殺されたり・・・・・・、そんな状態/状況にあると、普段ならばさっと流して許せてしまうことでも、いちいちイラついてしまうこともある。

そんなことは分かっていた。

が、

慣れない環境で疲れが残っている体のまま作業に忙殺される一方、なぜかほろ酔い。という奇跡的な不のコラボにより、コマツさんは大変不機嫌であった。普段なら聞き流したり、陽気な一言で弾き飛ばしたりできる他人の戯言、そのひとつひとつがいちいち癪に障るのだ。

ただでさえ汚らしくトゲトゲしい言葉遣いはさらに拍車がかかり、肥溜めに突っ込んだ身で刃物をブンブン振り回し無差別殺人、といった勢いで人様をハートをズシャグシャ傷つける。もう少し若ければそんなトコロまでいっていただろうが、今現在そこそこ大人であるため、なんとか湧き上がるダークサイドを押さえこむことができたのであった。

我慢我慢、満満我慢!

力技で気持ちを押さえ込んでいると、こんなことが起こった。妙な屈辱感がコマツさんを包み込んだのである。「ナンデ コンナコトヲ シナケレバナラナイノダロウ・・・・・・」、口には出さないものの、頭の中はそんな思いでいっぱいである。だからといって、急かされている作業をやめることはできない、という虚しさったらない。すると、なんとなんと目頭が熱くなっていたのであった!

「そんなありがちな・・・・・・」と思われるかもしらないが、これは驚きの事実である。他人については、というか映画やドキュメンタリーなんかではベショベショ泣いているけれど、まさか今更自分で自分を泣かすとは思いもよらなかった。随分と前に悪魔に心を売り渡していた気になっていたが、まだ自分にも人間味というのが残っていたのだ。

目頭が熱くなった時点で「おお、俺泣きそうじゃん、マジかYO!」と急に自分自身が面白くなってきてしまい、昇ってきたお水はたちどころに引いてしまった。そのため残念ながら実際にはポロリにまでは達することはなかった。その後不思議と冷静になれたコマツさんは、不のコラボをなんとか乗り切ることができたのであった。

最悪な状況はやっぱり最悪だけど、得るモノがないこともない。もう二度とごめんだけど。