ドライヤーを買いにいったら、ビームがでそうなものばかりが並んでいた。高級感を出すためなのだろうが、その結果として、まさか温風と冷風、そして強めの温風しかでないとは夢にも思わない、そんな豪華カタチになってしまっている。二万円近いものまであり、持ち歩いたら銃刀法違反で捕まるのではないかと心配してしまうくらいである。

毎日使うものなので、いちいち頭部を撃ち抜くような自傷的決断などしたくない。なんとかビームがでなそうなものを探してみるも、9割はビーム系で、残りは安物っぽい安物ばかり。これは困った。よーく探し直し、それらの中間に懐かしい家電色である白を基調にした素朴なドライヤーを見つけたのだが、今度はマイナスイオンを放出するという拘りたくない機能がついてきたのであった。

普通のでいい。見た目も普通で機能も普通であるならば、普通より少し値段が高くたってかまわない。そんな気持ちを抱えながら結局、押し付けとしか思えない機能のついたソレを購入した。

苦悩はそこで終わったわけではない。自宅でソレを使用する度、胸の奥底から怒りと虚しさが混じった後悔の念であろうもやもやもや〜んがプクプク膨張。毎回破裂寸前までいくので押さえ込むのがとても大変なのである。きっと、イオン吹出口なるものから飛び出た得体のしれない物資が、コマツの穴という穴を通りぬけ内部侵入、そこであれやこれやイケナイことを繰り返しているに違いない。