原点にたち返るような髪型にしよう、そう心に決め美容院に行く。さぁ切りたまえ、バッサリスッキリサッパリと。覚悟はできているのだ。「わかりました☆」と軽快に答えた女性の働きを、鏡越しにじっと眺めるも、メガネを強制的に外されているのでぼやけてよく見えない。

事の終盤、別ていたメガネが我が鼻上に返ってくる時間帯がある。仕上がり具合をチェックするためだ。

「サイド短くし過ぎるとー、長い顔がより長くみえちゃうんで長めにしときましたね☆」

「あ、はい」

原点に戻れなかった。