映画の日だから二本映画を観ました。と言ってみたかったので二本観てみました。

移動の際、可愛らしいピンクのキャミソールを着た浅黒いおじいちゃんに遭遇したり(しかも裏表反対でした)、エレベーターで乗り合わせたカップルが、俺の知らない言語で喧嘩を始めて気まずかったり。

一本目、『グエムル -漢江の怪物-』。ヤフーの映画レビューが公開前から荒れていたのは嫌韓流のせいなのかどうかはわかりませんが、ポン・ジュノなんだからどうせ面白いだろなーと思って観たら、やっぱ凄かった! どんなに残酷、悲惨なシーンでも絶対笑いを入れてくるパワーに圧倒されましたね。

あと、映画で起こる被害の大半が怪物によるものではなく人害だったことも興味深い。怪物も個人では太刀打ちできないものの、現代科学を駆使すればなんなく倒せたにもかかわらず、いい加減な対処のせいで被害が広まっていました。大団円ではなかったエンディングを見終え、「これが韓国で大ヒットしたなんて、日本と比べ随分と観客に恵めれているいるのだなぁー」とちょっとショックだったりも。

観ている時、映画以外に気になったことがありました。自分の座席の横に誰か座ったのでチラっと顔を見ると、あれ?どこかでみたような顔が・・・・・・く、黒澤清監督だ!(と思う(たぶん))。あらゆる表現者をこういった場で見つけてしまったとき、「この方はどんな場所でどんな表情をなさるのかしら?」とチロチロ確認するという破廉恥な行為をしたくなるのが人というものなのでしょう。ワタクシ結構我慢したのですけど、恥ずかしながら何度か横を見てしまいました。とても爽やかに笑っていらっしゃいましたよ。きっといいひとです。

我慢しきれずそのような行為に及んだのは、二本目に観るつもりだったにがその黒澤清が監督した『LOFT』だったからです。いわずもがな黒澤さんは今もっとも注目されている日本人監督の一人ですが、ワタクシお恥ずかしいことに『ドッペルゲンガー』、『アカルイミライ』を(DVDで)観て、何が凄いのか(もしくは何がおもしろいのか)サッパリわからなかったんですよー。でも褒める方は断言するように「面白い!」と仰るので、一度劇場で観ようと思っていました。

で、でですね、感想はですね、凄い面白かったんですよ! 正確には、これはホラーだと身構えていたときは??で(怖いの苦手なんです)、途中「これはオモシロ映画だ!」という姿勢で観たら、とって楽しめた。上映中の映画館から笑い声が一切出ないのが不思議でしょうがありませんでしたよ。

いろいろ楽しくて書き出したらきりないけど、特に役者たちが印象的でした。中谷美紀が好演している一方で、豊川悦司が「俺は俺だから俺でしかない」というような演技だったのが衝(≒笑)撃。ヘタというよりも「私は誰とも絡む気はない」という感じでした。中谷美紀が懸命に絡むも、豊川悦司はまるでバリアーをはっているかのようにそれを簡単に跳ね除けるのです。この二人の会話が違和感たっぷりでおもしろい。

西島秀俊も台本のト書きに「全部棒読み」と書かれているかのような演技で(わざとだと思うけど)、会話がかみ合っているんだけど何かがかみ合ってない感じがもどかしくて癖になる。さらにお茶の間のアイドル安達祐実と豊川様が絡むシーンが一瞬昼ドラみたいになってビックリした(あんな大画面なのに!)。

他にも効果音に(正に!)古典的なひゅーどろろ〜を使ってたり、音だけ張り詰めてるのに画面がそれほどだったり、急に縦になったりなど、あっちこっち揺さぶられて楽しかったです。ストーリー自体は結構どうでもいいや〜と流し気味になってしまったけれど、今書いてて色々気になり始めちゃった(笑)。どこまで深追いするべきかは微妙なとこだけど、寝る前に少し考えてみよう。

映画館を出る際、カップルが目に入り「ひどかったね・・・・・・」とガールが言って、ボーイは苦笑いをしていました。確かに「酷い」エンディングだったけど、妙な爽快感もあって俺は思わず口元を緩めてしまいました。こんな大胆な映画の見方があったと知れただけで大満足です。やはりショックが小さくなってしまうせいか、小さなテレビで見てもコレには気づかなかったのでしょう。『ドッペルゲンガー』、『アカルイミライ』も観直して見たい。できれば映画館で。