今日川沿いと歩いていたら、アウゥンハウゥンという喘ぎ声が聞こえたので、反射的に声の方向に視線を移すと、隣接している公園でカップルがプレイの真っ最中。女はブランコに乗っており、男はその後ろから腕をニットに潜り込ませながら、胸の辺りで指を躍らせていた。横切る俺に気づくと、女は顔を俯け声を漏らさないように我慢し、一方男は俺に見せびらかすかのように執拗に目を合わせてきた。興奮のせいか異様なほど目が見開いていたので少し怖かった。俺は小声で「風邪引かないようにね」と言って去ったけれど、そんな忠告など聞かずに続きを楽しんだことだろう。


春期限定いちごタルト事件』を読む。米澤穂信さんの作品を試してみようと思い手に取ったのだけれど、果たしてこれが一番最初でよかったのだろうか。表紙だけだとラノベっぽいけど創元推理文庫から出ているので立派なミステリー(?)。とはいえ、中高生の読者を意識した読みやすさはちゃんとあった。

印象的なのは人が死なないところ。怪我すらしない。ちょっとした日常の謎を、小市民として暮すことを望む高校生探偵がこっそり解いていく。別に解かなくてもいいようなものでよろしければ、日常は常に謎に満ちているのでございます。登場するキャラクターが寸止め系なのが魅力的。もっと知りたいと思わせる。すごい面白かったわけではないけれど、続きを読んでみたいと思わせる魅力がありましたね。


春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)