『贖罪』を読む。初イアン・マキューアンだったので、短めの『アムステルダム』にしとけばよかったかなぁと思いつつ読み進めるも、段々とはまっていく。最終的にはこの長さは必然だったと思わせる、重みのある読後感を与えてくれた。精密な描写のため物語が進めないよ〜と思っていたら、急にグィーン!と進んだりする。しかも残酷な展開を重ねてくるので、刺さるような驚きが何度かあった。

まっとうな愛の話でした。ラブ&ピースってそもそも無理じゃん!矛盾に近いじゃん!!と改めて思わせてくれます。無垢(≒無知?)と愛による罪はホント手に負えねぇぜ、ってことなのでしょう。故にその二つは時に残酷なのでR。

ひとりの少女はその罪を犯してしまい、不運なことにその結果他人の人生を大きく狂わせてしまう。そして少女は成長と共にその罪に気づき、人生をかけて償いを試みる。果たしてそれは成功するのか!?それとも・・・・・・

個人的には少女が成長の過程で自らの罪に気づくって部分が、ほとんど描かれていなかったのが不満。『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』なんかを読んだ後だと、自ら作り出した(そうであれ!という)想像を、実際の経験よりも鮮明な体験として記憶していまうことのほうが、むしろ自然な感じがしてしまう。あと『脳のなかの倫理』で書かれていた、目撃情報を証拠に捜査を進めるのは非科学的だ!的な忠告なんかも思い出したり。



贖罪