西洋骨董洋菓子店』があまり好きになれなかったので、よしながふみブームはちょっと冷め気味だったけれど、『フラワー・オブ・ライフ』でまたやられてしまった。学園もので家族ものという、TVドラマのようなベッタベタなテーマなのに新鮮。今まで取りあげられてこなかったキャラクターが多数登場するのも素晴らしい。

元々女性漫画家が書く男モノの話が昔からツボ。夢と現実をふあふあ行き来してる感じが男が書くそれにはないので魅力的。『西洋骨董洋菓子店』は嘘っぽさのラインを越えてしまって、しっくりこなかったのだけれど(もちろんそんな線自体が己が引いた偽物なのだけど)、『フラワー・オブ・ライフ』はもうこっちの期待にバッシっと答えてくれているかのよう。もう、躊躇うことなく三国萌です(笑)

この漫画のすばらしいところは、そのふあふあ感だけに留まらず突き刺すような痛さが沢山あるところ。みんな(大体)いいやつなのに、ちょっとしたことで誰かが傷ついてしまう。そのちょっとしたことの作り方も上手い。というかそこ取り上げるのか!というものをここでもまた出してくるので、一旦読み止めてしまうほどしんみりしてしまいます。

ちょっと面白いと思ったのが、登場人物がみんな思っているよりも弱いと同時に、思っているより強いところ。つまんない誤解をずるずる引っ張らないのです。偉いなぁ、と思いつつもうちょっと辛いとこまで踏み込んでもいいのでは?とイジワルな気持ちにもなったりする。のだが、そうなるとハートフルな雰囲気がなくなっちゃうから駄目です、そんなことを考えては!

とりあえず今出ている三巻まで一気に読む。『大奥』と同時進行らしく、まだ続刊がでる模様。無理してどっちも沢山書いてください。


あとは『デトロイト・メタル・シティ』の二巻や、『皇国の守護者』4巻も読む。前者は、1巻は布石だったと言わんばかりの飛ばしっぷり。東京タワーをレイプするシーンと、前後の意味が完全に繋がらない言葉で韻を踏むデスラップには、俺マジ痺れたよクラウザーさん! 後者は「主人公の不安定さがすごく変!」と思いながら楽しく読んだ。戦争の話は(フィクションでも)あんま好きではないんだけど、「この漫画には何かある」と思ってしまう。理由はよくわからないんだけど。


皇国の守護者 4 (ヤングジャンプコミックス)フラワー・オブ・ライフ (1) (ウィングス・コミックス)