映画2本。


今敏監督のアニメ映画『パプリカ』。『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』を観てしっくりこなかった自分にとって、「映画館で三度目の正直!」という気分だったのだが、やはり素直に楽しめなかった。筒井康隆原作のアニメっていうと、夏に公開された『時をかける少女』が浮かぶけど、こっちが現代に合わせて変化させたという印象を受けた一方、『パプリカ』はかつての姿のままクオリティーを上げていったという感じがした。

どっちが良い悪いとか言うつもりはなくて、どっちもあったほうがいいとは思うけれど、自分は『時をかける少女』のようなものの方が好きだし、そちらを支持したい。まぁ同じ作家原作とはいえ、このふたつの映画を比べるのはどうかな?とは思ったのだけど、まったく違うアニメとしてはっきりとした断絶を感じたので書いてみた。


アルフォンソ・キュアロン監督『トゥモロー・ワールド』。「ハリポタ見てないしこの監督初めてだなぁ」と思いきや、同監督の『天国の口、終りの楽園』という映画は観てたということに気づいた。しかもちょっと思い出のある映画で、アホみたいな男のオナニーシーンなど、なんというかエロのボリュームが凄い映画だった(笑)。女の子の観にいったので、終わったあとどんな会話すりゃいいんだよ〜、と映画の途中で作品とまったく関係ないところでドキドキしましたね。ちなみに彼女は「すごかったね、あははは・・・・・・」と苦笑いで感想を言い、その後一切映画の話はしませんでしたよ。あれはすごかったね、あははは・・・・・・

トゥモロー・ワールド』もまぁ変な映画ではあったのだけれど、ストーリー的にはベッタベタで、超が付くほどわかりやすい。細かいとこを気にしさえしなければ。と思いながら観ていたら「えっ!これで終わり!?」ってエンディングだったのでビックリ。そう思った人は結構な数いると思う。大きな問題は何にも解決しないで、ほんのわずかな希望が見えただけで映画は終わってしまうのだ。全然幸福になった気がしないんですけど。とりあえず、どこかで書かれていたような「アクション・エンターテインメント超大作」ではないことは確か。

ではでは、この映画はいったいなんだったのだろうか? うぅ〜ん、映画自体は結構楽しめたんだけど、この映画を作った動機がはっきりと掴めない。後半、赤ちゃんが生まれた以降の流れにわけもなく感動してしまったのだけれど、もしかしたらそこに集約されているのかも。家族って感じでもない。お恋愛様はまったくでてこなくって、赤子(≒子供)に集約されていたのも印象的。

「怖い」感想がちらほら見えたけど、拷問シーンとかはなくって、その代わり先月観た『父親たちの星条旗』の戦争シーンのように、無慈悲に人がBANGBANG死んでいく。歩くカメラの効果で、本当に起きたことのように一瞬錯覚するので、よりいっそうおぞましい。