また面白い光景を見た。


店内にもかかわらず、携帯電話で会話する20代後半(推定)の男。

「・・・・・・だからちげぇって!」

「・・・・・・本屋っ!」

「・・・・・・だから本屋だっていってんだろ!」

「・・・・・・駅前のブックオフだよ!!」

「・・・・・・ブックオフだって! 女のところじゃねーよ!! 本屋ッ!!!」


事実そこはブックオフ。大声で話すなんてモラルが欠片になっちゃったヤツだなぁ、とイラつきつつも、そんな浮気の疑いを公開しなくても・・・・・・とちょっとした哀れみも混ざった複雑な感情に。その辺の店員に頼んで「いらっしゃいませコンニチワー」という例の機械的なマニュアル挨拶を、電話越しの恋人に聴かせてやればいいのに。

あと、ブックオフを「本屋」って言い切ってしまっているのにもちょっと驚いた。



ティボール・フィッシャー『コレクター蒐集』を読む。6000年の記憶を持つ変幻自在の碗が、かつて自分をコレクションに入れた人々を逆に蒐集していたという変なお話。そのお碗の鑑定を依頼されたローザは骨董品の記憶を読める能力を持っていた。正体を見破ろうとする鑑定士に対し、負けじとお碗も相手の記憶を探り出す。出てきたローザの情報は、なんと絶望的な男性遍歴だった・・・・・・。勝負はどちらが勝つのか?っていうかローザは幸せになれるの!?と、いつのまにか見守る道筋が変わってしまったり。お碗が集めたコレクターもローザを取り巻く男女もみんな変人奇人なので、そういうのが好きな人はお腹いっぱいになるくらい楽しめる。アイデアが豊富過ぎ、んでもってそれを躊躇なく出しすぎな一冊。


コレクター蒐集 (海外文学セレクション)