楽しすぎる! おフランスの作家ダニエル・ぺナックのパンジャマン一家シリーズを読み終えた。『人食い鬼のお愉しみ』『カービン銃の妖精』『散文売りの少女』、不運と誤解が重なって、遡るようにシリーズを読んでしまったのだけれど、それでも止まらないんでございますの。シリーズを重ねるごとに面白くなっていくのも素晴らしい。

パンジャマン一家は半分しか血がつながっていないせいか、みな違った個性を持っている。主人公で長男マロセーヌは職業的スケープゴート。はっきり言っちゃえばクレーム対応係。それは彼の人生そのものでもあり、望んでも望まなくても事件を引き寄せてしまう。長女のルーナは妊娠に悩むナースで、次女のクララはカメラに夢中。三女のテレーズはオカルトにご熱心で、次男のジェレミーは愛すべき無鉄砲。それに続くピンク眼鏡のちびは、タラちゃん的立場でみんなの影響を少しずつ受け、さらには癇癪持ちの体臭の臭い老犬を飼っている。

そんなラブリーな一家が残忍な事件に巻き込まれ、それを悪戦苦闘して解決していくミステリー(マロセーヌは一番被害に合うにもかかわらずあんまり活躍しないんだけど)。さらにシリーズ2作目3作目は登場人物自体が多くそれでいてみな個性的魅力的なんだからやめられない。まるで話が進むにつれファミリーがどんどん増えていくかのよう。完結するという続編の邦訳が出ていないのはどうしてなんだろう? とにかく早く読みたい。



自宅からさほど遠くない横断歩道のひとつに、むかしから花やお菓子の詰め合わせなんかが置いてあるところがある。きっと子供が交通事故で死んでしまい、その両親がまめに供養しているんだろうなぁ、と通る度に思い、やたらとさびしくなってしまう。先日、もはや確認のようにそこに目をやると、なんとその場所にお地蔵さまが立っているではないですか! 愛情とはいえそこまでやるか・・・・・・っていうか公道に勝手に置いていいの?? 真新しいお地蔵さんはいまんとこペッカペカに光っています。



人喰い鬼のお愉しみ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)カービン銃の妖精散文売りの少女