■M−1が面白かった。爆発力のある笑いや、明確な「新しさ」を感じる笑いこそなかったものの、これほど各コンビのM−1にかける思いが伝わってきた大会はなかったのではないだろうか。来年はあるとは限らない、これが一度きりのチャンスかもしれない、そういう意識がビシビシ迫ってくる、かつてないほど甲子園っぽい(?)中身だった。それを顕著に表していたのがキングコングで、「漫才のコンビっていいな」という笑いとまったく関係ないところで感動。

優勝したサンドウィッチマンはのネタは例年通りその日のうちに三度見ましたが(笑)、やっぱりすごくよく出来ていて尚且つメチャクチャ上手いという文句なし。完全なコント漫才なのだけど、もう(上手すぎて)ドキュメンタリー漫才であるかのようになっている(この辺は初見の強みかもしれないけれど)。出場者の多くが大声(もしくは奇声)出してテンションで笑いを取っていくのが多かった中、無闇に声を張り上げず、それにも拘わらず抑揚がハッキリしていたのも少し特異な感じがして面白かった。

あと残念だったのが笑い飯で、「奴等ならきっと新しい何かスゲェことをやってくれる」という期待を、今年見た人はもう彼らに背負わせなくなると思う。これ以上大きな変化も成長もないのだということがハッキリしてしまったかのようでした。審査員の誰かが言ってたけど、もう笑い飯は「新しく」ない、もう新しいスタンダードになってマネしている若手もたくさんいるらしい。

興奮するほどの「新しさ」を期待したくはなるのだけれど、今回のような雰囲気の大会で、サンドウィッチマンのようなタイプの芸人がトップに立つ可能性があるならば、「新しさ」がなくとも見る価値はあるなぁ、と心底思わされました。