■確か四年前、所謂〈名画座〉と呼ばれる映画館に時間つぶしで入ったところ、スクリーンに可愛いらしい男の子たちが登場。さらに力強いストーリーとキュートな演出ときたもんだから、見終わった後メロメロになってしまった!というのが『飛ぶ教室』との出会いだった(ウリーの子役が可愛すぎる!)。

昨年、「あの感動をもう一度」と講談社文庫に入っている山口訳の『飛ぶ教室』を読んだ。児童向けに訳されていたためちょいと読みにくかったけれど、ケストナーの力はそれでかき消されるものではないので、グッと最後まで引き込まれ、その魅力を再確認することができた。

そして今年(というか先ほど)、愛読している光文社古典新訳文庫から大人向けに訳されたもの出ていることを知ったので、「まったまたあの感動をもう一度!」と再び『飛ぶ教室』を手に取り読んだのだった。感想はもちろん当然あたりまえな定説のごとく「素晴らしい!」の一言。今回は別訳とはいえ再読ということもあって、いろいろと細かいところにも気づくことができた。その一行一行に丁寧に込められたケストナーのユーモアと、それから浮き出て全体覆う圧倒的な「正しさ」。ここまで正論を並べて説教くさくならないのは凄すぎる。

自分にとって一生ものの一冊になる予感。きっとまた読み返す。読み返したくなる、絶対に。