「生理的に受け入れなれない」という言い訳が「生理的に受け入れられない」。それはなぜか。「受け入れられない」の対象を、人間に限定して考えてもらえば話が早いだろう。そのグロテスクさが鮮明にさるはずだ。

「生理的に受け入れない」のならば、それ相応の肉体的に反応を示せ!というのがワタシの主張だ。蕁麻疹が出たり突然嘔吐してしまったり、その相手と会話をしている際、はたまた視界に入っただけなのに、そのような肉体的反応が自分の意思に反して出てしまう。そうであるならばそのような言い訳も受け入れることができる。しかし現実はどうだろう。かつて出会った「生理的に無理」と(安易に)断言したやつらの中に、そんな同情を誘うような者はいたであろうか・・・・・・そう、やつらは単に心の狭いだけなのだ。

そもそもなぜこの言葉を口にするやつは上から目線なのだろうか。この素朴な疑問も重要なポイントである。「アイツ生理的に無理なんだよねー」。この言葉を先に口にしたほうが勝ち、みたいな風潮には断固として反対すべきだ。なぜならば、「生理的に受け付けない」のであれば、「理性的には受け入れらるんだけど・・・・・・」などという前置きがあってしかるべきだからだ。

故に「生理的に無理」と発言するときは、申し訳なさそうにすべきである。「頭では受け入れなきゃってわかってるんだけど・・・・・・、吐いちゃうんだよね。ゴメン・・・・・・」みたいな救いようのない、もう誰が悪いってわけじゃないよね、的なところまでいって初めて使ってよい言い訳なのだと強く訴えたい。

言われる方の気持ちになってみることから始めようではないか。幸いワタシはそのような罵声を浴びせかけられた経験はないのだが、直接本人に言う言葉でもないので、影ではちょくちょく言われているという可能性も否定できない。昨日会ったあの人も、金を貸してやっているアイツも、ついさっき笑顔で挨拶してくれたキュートなあのコでさえも、ワタシの聴覚機能が捉えきれないところで、そういった無礼な発言をしているかもしれないのだ。

嗚呼ッ! 想像しただけでもおぞましいッ!! これこそ正に生理的に受けつけられないという状態だ。うぁあん、腕にブツブツがでてきちゃったよぉん・・・・・・・。


コマツさんがそのようなことを喚き散らしながら相手を見ると、なんと蒼白な顔で俯いているではありませんか。

どうしたのです(紳士的に)!

「話聴いてたら、ちょっと酔ってきちゃって・・・・・・・、ゴメン」

そう言いながら弱弱しく顔をあげた彼女であったが、コマツさんと目が合った瞬間、体内から何か(たぶんさっき食べたパスタ)を反芻してしまい、溢れ出るそれを両手で押さえながら排泄専用の個室に駆け込んだのであった。

彼女が先ほど頼んでいたアイスが、目の前でどろどろと溶けていくのを見つめながらコマツさんはこう思った。こんなことになる前に「生理的に無理」と一言口にしてくれればよかったのに・・・・・・。