「嘘でもいいから本当のことを言って」

真正面にいる女からの突然発言で追い詰められるコマツさん。いったいどんな流れでこんな状況になったのか、まったく見当もつかない。耳にした言葉をもう一度頭の中で繰り返し、矛盾しているのでは? という当然の疑問が湧いたのとは裏腹に、無意識のうちにこんな言葉が口から出てしまう。愛してるよ。

「嘘つき!」

バチンッ! という音が耳元で響く。女がフルスイングでほっぺたにビンタをかましたのだ。なぜこんな仕打ちを受けるのか。コマツさんは驚き戸惑っている。

「もう一度チャンスをあげる」

どうも。

「嘘でもいいから本当のことを言って」

またかよ。と飽きれつつ、さっきのセリフがまた口から飛び出てしまう。愛してるよ。

「嘘つき!」

バチンッ! 痛い。とても痛い。

「もう一度チャンスをあげる」

もういらないです。

「嘘でもいいから本当のことを言って」


これが半永久的続くかと思うほど繰り返される夢を見た。きっと寝苦しい夜が続いたので、寝苦しい夜が続いたのだろう。