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コマツさんは何かと緊張してしまうプレッシャーに弱い成人男性である。そのため下痢の症状に悩まされることはあっても、便秘に苦しむことは今までなかった。だが、2週間前の食あたりから続く内蔵事変により、その点でも貴重な経験をすることになった。
コマツさんも、まさかここまで憂鬱になるとは思っていなかった。ニュースキャスターがどんな重大な事件を知らせても、
「そんなことより、出るか出ないか、それが問題だ」
という傲慢な意見が、あたかも正統であるかのように感じてしまうのである。
「衆議院よりも、この腸内に詰まっている輩を解散してくれたまえ!」
景気すらどうでもいい。そう語ったコマツさんだか、先ほど念願の、アレがアレからアレする、という事態となり、久しぶりに笑顔が垣間見られた。熾烈な戦場であった個室から流れる水音をBGMに颯爽と出てきたコマツさんは、小踊りしながらこんな感想をもらしたという。
「クララが立った!みたいなテンションになるね」