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「特に言いたい事はない」
そう言い返したコマツさんに対し、言いたいことないならわざわざ口にしなけりゃいいじゃん、と友人Kは眉間に皺をよせた。
「特に言いたい事はない、ということを私は伝えたいのだ」
そんなの超矛盾じゃん。馬鹿じゃん馬鹿馬鹿。死ねばいいと思う。そう言いながら友人Kは、空になったプリンの容器をコマツさんの顔面に投げつけた。そんなことをされたのにも拘わらず、コマツさんは一切表情を変えず、真剣な面持ちである。
「そんなことはない。いや、例えそうだとしても、この気持ちに一切嘘偽りはない」
友人Kはコマツさんを一瞬強くにらめつけた。そして深くため息をつきこう言った。もう一度言います。よく聞いてください。俺が私的な電話のため、ほんのちょっと外に出ている間、勝手に人のうちの冷蔵庫を開け、家主が楽しみにしていた、大変楽しみにしていたちょっとお高いプリンをあなたは食った。この事実に間違いはありませんね?
「特に言いたい事はない」