ある日コマツさんは気づいた。サンドイッチ伯爵が考案したものをサンドイッチと呼ぶならば、アレの間にソレを挟んだコレを、コマツと呼んでなにか問題があるだろうか(いやない!)。

このようにしてコマツは生まれ、瞬く間に日本中に広がった。コマツ専門店は勿論のこと、今やコンビニではおにぎりの隣に様々な種類のコマツが並んでいる。回転寿司でもコマツは流れている。「寿司を食いにきているのになぜコマツを」と冷ややかな視線を送るのが大方の反応だが、同じものばかり食べているとたまに変わったものを口にしたくなる客も少なくなく、プリンなどと並んでお口直しとしてよく手に取られる一品となった。

いつのまにか国民食的な扱いを受けるまでに至り、カレーとコマツどっちが好き?などいう比較(もちろんカレー味のコマツもある)も決して珍しいものではなくなった。

振り返って考えてみると、コマツの地位を決定付けたはやはりあのコマツさんのパフォーマンスであろう。いくつもの難関を潜り抜け宇宙飛行士になったコマツさん。世界中が見守る中飛び立ったスペースシャトルの中で、コマツさんはコマツを手に取りこんなことを言った。

「子供の頃はこの食べ物と同じ名前で随分いじめられたけど、今ではこの食べ物と同じ名を持つことを誇りに思います。うまい!デリシャス!!」

無重力の中、コマツさんが宇宙用に開発されたコマツを頬張るその映像は、地上の人々に彼の魅力を伝えると同時にコマツ知名度を高め、さらには全国の小さなコマツさんたちに勇気を与えた。