さらにおいしくなりました!

そんな馬鹿な。ついこの間おいしくなったばかりなのに!

よく食べるお菓子のパッケージに描かれたそんなメッセージを受け、コマツさんは衝撃を隠せなかった。直ぐ様レジに向かい購入。興奮のあまり店外に出る前に袋をびりびりと開けてしまうほどであった。

しかし食べてみると、変わったといえば変わったけど違いを言えと請われたら・・・・・・ちょっと味が濃くなったかなぁ?という程度で困惑。比較して確かめたい、と前のパッケージのものをあらゆるネットワークを駆使して探しまわったが、古いものはすでに都内から一掃されてしまっていたのだった。

コマツさんはその悔しさと悲しさをわざわざ呼び出して友人Kに報告すると、意外にも好意的な反応が返ってきた。

「ああ、確かにアレ最近リニューアルされたよね、俺も食べた。これは個人的な意見だけど2001年に出された――これは非公式の呼び名だけどバージョン8.2って言われているやつ――以降のモノは全て改悪だと思ってる。悪あがきっていうか、もう引き返せないっていう開発者のつまらないエゴ丸出しっていうか。そろそろ原点回帰みたいな方向に舵をきってもいいと思うんだよね。先人に対するリスペクトっていうの? もちろん世界的な変化の中でコストの面とか使用付加になった添加物とかどんどんそういうのも変わっていて大変なんだろうけどさ。まーやっぱりファンの間では8.2がベストっていうのは揺ぎ無いわけだから、小手先の改変なんてやめるべきだと思う、でしょ?」

コマツさんは自分の知らない世界がまだまだあるのだと実感した。そして、これは普段コマツさんのほうがよく思われていることだが、悪気は一切ないんだろうけどちょっと気持ち悪い、とも感じた。みんなごめんね!