2008-01-01から1年間の記事一覧

「信じていたのに裏切られた」仕事のあとや休日は、もっぱら引きこもりがちのKに呼び出された時点で、緊急に聴いてもらいたい愚痴でもあるのだろうと予想はしていた。そしてその内容も「きっと例のアレだろう」と見当をつけていたのだが、それらは半分正し…

先日、友人とご飯を食べる機会があった。暑い日々が続いたので気をきかせたのか、最近聞いた怖い話とやらを彼女は急に語りはじめた。それは幽霊(と思われる非生命)が出てくるもので、その類は一切信じていない(というかそもそも、どうして信じられるのか…

清く! 涼しく! 美しく!子供たちが楽しげにそう連呼しているのを耳にして、そうありたいものだと汗を拭い、ためしに背筋をぴんと伸ばしながら歩いてみた。何が可笑しいのか理解に苦しむが、小学生(特に男子)は――お笑い芸人のネタを例に挙げるまでもなく―…

「生理的に受け入れなれない」という言い訳が「生理的に受け入れられない」。それはなぜか。「受け入れられない」の対象を、人間に限定して考えてもらえば話が早いだろう。そのグロテスクさが鮮明にさるはずだ。「生理的に受け入れない」のならば、それ相応…

大相撲がある時期は、毎日が楽しくてしかたがない。今日は全国の琴奨菊萌えのみなさんが両手を挙げて小躍りしながら喜んだ日でしたね。インタビュールームでの満面の笑みがあまりにもキュート過ぎ。あれを一度見たら応援せずにはいられません。自分がにわか…

「眼鏡をオシャレにしたら負けだと思ってる」真剣な眼差しでそう言ったヤシマさんはすぐに「冗談だよ、冗談」と俺の表情をのぞきながら笑った。 今日は久しぶりの会合だった。全国眼鏡振興会、通称「メガネクラブ」は、十数年前から続くコンタクトレンズの猛…

友人の結婚式の朝だというのに、今日も隣の夫婦喧嘩で目が覚めた。壁をもすり抜ける女の罵声。高音より低音のほうが響くなんて嘘のようだ。一度コレが始まると、深夜だろうと早朝だろうと数時間続くので起きるしかない。喧嘩の内容なんて聞き取るまでもく、…

これは夢の話だ。写真嫌いで有名なコマツさんは、以前ならば撮られること自体を拒否していたのだが、最近は大人になって――というかいちいち断る面倒になって「撮ってもいいが見せてくれるな」という態度を取るようになっていた。自分の映っている写真など必…

これは個人的な感覚なのだが、空気が読めないのと、デリカシーがないのと、モラルに欠けているのは全部違って、最初のは笑って許せるし、次のはなんとか耐えられるけど、最後のは(完全なプライベートだと特に)我慢できねーんだよバカヤロー!ということで…

筋肉痛で体のあらゆる部位が動かし難いのは、昨日師匠に稽古をしてもらったからだ。全てのきっかけは昭和記念公園の中で行われたBBQだった。野菜や肉を調理する係、炭を燃やし火力を調節する係、思い出を記録する写真係、今日集まった友人たちはとても仲…

友人Kの話をしよう。景気悪化を辿る中、奇跡的に誰もが羨む優良企業に就職することができたKだが、しばらくすると「職場に馴染めない」と周囲に漏らすようになっていった。ほとんどの友人は「遠まわしの自慢だ」とその行動に腹を立てていたし、気のいい連…

あれは確かに日が沈む前のことだったし、人通りが決して少なくない川沿いを歩いているときに起きた。新しく作られた白い二階建ての家。更地になっていたときから気づいていたので、目に入ると「もうできたのか」と時の流れの速さを嫌でも感じてしまった。少…

「こののり佃煮さえあれば、ご飯が何杯でも食べられます」そんな広告的な言葉を口にすると、コマツさんは再びどんぶりを手に取り、わんこそばを食すかのような勢いでご飯をかっ込んでいった。周りにいた人々はそれを特に不思議がることもなかった。普段とて…

■コマツさんは病に侵されていました。深夜零時をまわると歯がうずき出すという病気で、まるで時間を知らせる柱時計のよう。けれどある一定の時が過ぎると止んでくれるわけではなく、徐々にその痛みはひどくなっていくのでした。苦行を強いられているわけでは…

■部屋のパンダが増えていく。誕生日になるとちょとした雑貨をくれる友人がいて、本人は無意識なのだろうがそのパンダ率がやけに高いのだ。今年は紐を引っ張って放し、それを水面に浮かべると背泳ぎをするというおもちゃ。山奥に住むパンダに、水と戯れるイメ…

■いつ雨が降ってくるのだろう。どんより空の午後、女子中学生が三人、コマツさんの前を歩いている。誰かと一緒に歩くということは、一人で歩くのと比べ、そのスピードはかなり落ちることはみなさんご存知だろう。そのため本来ならば、ひとりぼっちのコマツさ…

ピンクという色彩は特別「カワイイ」だろうか。ワタシはそうは思わない。それが無根拠なまでに「カワイイ」とされ、安易に使用されまくっていることによって、個人的な実感としてのピンクは、むしろもっともグロテスクな色であるかのように映る。そうは思わ…

コマツさんは叫んだ。そっ、そんな馬鹿なッ! やつらが進入してくるなんて理論上あり得ないッ!! そう、今オリコンが「その存在自体が許しがたい生命体」というアンケートを行ったとしたら、ガン細胞やエイズウイルスにさえも圧倒的な大差をつけナンバーワ…

アイツが来ない。遅刻である。先に着いた、というかちゃんと時間どおりに来た友人A子とコマツさんは、時間を潰すために愉快に話そうではないか、と目についたコーヒーショップの中に入った。そこでA子さんは言いました。酔ったらキスする人っているでしょ…

「すっぽんぽんのすけ」シリーズを紹介する。これはヒーローが悪を駆逐するという、一般成人男性には必要のないストレートな内容の絵本なのだが、タイトルから薄々気づいている方もいるとおり、そのヒーローは全裸なのである。戦隊ヒーローものやライダーシ…

■昨日は楽しげに書いてみたものの、今日はいっきに読みすぎて気持ち悪くなってしまった。絵本酔い(メロメロではなく、ゲロゲロのほう)。最もお気楽な読書と見せかけて、実はすごい体力を消耗するんだと実感。いろんなページがフラッシュバックのように頭の…

■ルドウィッヒ・ベーメルマンスのマドレーヌシリーズ最高! と、私的な絵本ブームは今も続いていて、図書館や大型書店に行ったときには決まって何冊か絵本を手に取り読む、という行動が習慣化されつつある。ベーメルマンスが生み出す多幸感は、チェコ出身ア…

■最近DVDですら映画を見る気がなかなか起きず、それを不健康に感じていたのだけれど、重い腰をあげるのにちょうどいいウェス・アンダーソン監督の『ダージリン急行』がやっていたので観にいく。毎度お馴染みにの「そのどうしようもなさを含めて憧れる」感は…

■金井美恵子さんの『ページをめくる指』という本を読んでから、大型書店や図書館に行く度に、ちょこちょこ絵本を手に取るようになった。それは所謂「大人の絵本」的な楽しみ方ではないし、かといって「子供の読ませる/読み聞かせるための本」として、それを…

■脳梗塞で入院していた父が無事退院。後遺症で口元の筋肉が扱いにくくなったため、昔から(意味の方が)何言っているか分からなかったのに、さらに(言葉そのものの方が)何を言っているのか分からなくなってしまった。母は「前からわけわかんなかったんだか…

■「とてもスマートでいらっしゃる。素晴らしい素晴らしい」と、皮膚の上にもう一枚白い膜を貼り付けたような顔をした老婆に手をこすりつけながら拝まれる、という経験をつい先ほどしたのだけれど、あれはいったいなんだったのだろう?つい怖くなって「ドウモ…

■値上げラッシュに気持ちがついていけない。100円を切ることがなくなった日清カップヌードルは、もはや高級嗜好品に見えてしまう。一番衝撃的なのはパンだ。コマツさんはパン食主義者と呼ばれるほどの愛パン家。もっとも陶酔していた時期は高校性の頃で、「…

■特に断りのないまま更新しない日々を過ごす、ということはつまり、自然発生的に死亡説が流れる、ということくらい承知しているのだが、実際死にかかっていたのは自分ではなくその父親のほうだった、というのが笑えないオチなのであった(現在絶賛療養中)。…

■コマツさんは細い。太らないし筋肉もなかなかつかないし背もそんな高くない。自分コンプレックス、もしくは極度のないもの強請リストでもあるコマツさんは、その内外両方の特性故に、大きな人=カコイイという認識が確立しつつある、ということに最近気づい…

■久しぶりに読んだ本の話。相変わらずお安いんで新書を手に取ることが多い。宮崎哲弥さんが昨年の新書ベストとして挙げていた中で、読んでなかった飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』(中公新書)、アルボムッレ・スマナサーラ『般若心経は…